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 とーとつですが、私は筋金入りのチャイ好きです。チャイって、ほら、インドカレー屋さんで出すマサラ(スパイス)ティーのこと。なめし皮のような薄茶色をしたこってりと濃いミルクティーですね。インドやネパールでは食後に限らず、朝起きてチャイ、おやつにチャイ、商談にチャイ、チャイがなけりゃ夜も日も明けないくらい。ミルクとお砂糖たっぷりのチャイは栄養があるから、朝食はチャイだけという人もいます。

 そういえばその昔、インドで夜行バスに乗ったときのことです。しつこく言い寄る車掌に肘鉄をくらわせ、やっとのことで片田舎の町に着いたのが夜明け前。同乗の人たちは足早に去り、ほの暗い辻に残ったのは私ひとりでした。あんまり怖いから、さも目的があるようなふりをして歩き、粗末な小屋の裏手に隠れました。しばらくすると小屋の中で人の気配がし、薪を焚く匂いが漂い、チャイハネ(峠の茶屋みたいな簡易食堂)の木戸が開きました。ここでチャイを飲みながら日の出を待ったのは、今でも忘れられない時間。濃く熱く甘いチャイが、私の不安をじんわりと溶かしてくれました。

 こんなシチュエーションでなくても、チャイには体にいい効果があるんですよ。スパイスの複雑微妙な配合にかけては右に出る者のないインド。中国の漢方に対して印方(?)と言うかどうかは知らないけれど、家庭でも気候や体調に合わせてスパイスを配合し、料理をしたりチャイをいれたりするそうです。そこで、インドで習ったおいしくて簡単なチャイのいれ方をご紹介しましょう。

1 水150ml、紅茶の葉小さじ1を小鍋に入れて、折ったシナモンスティック1/2本(パウダーならば3で加えます)、ほぐしたカルダモンの房1房と中の種子、しょうが薄切り2枚を加え、弱火にかけます。

2 沸騰したら水と同量の牛乳を加え、再び沸騰しそうになったら火を止めます。

3 茶漉しで漉し、好みの量の砂糖を加えます。

 紅茶の葉はなるべく細かいほうがよく浸出するので、安めのティーバッグがおすすめ。シナモンとしょうがには健胃作用や体を温める効果があり、カルダモンは消化促進や口臭防止に役立つといわれています。ちょっとクセがありますが、鎮痛・消炎作用のあるクローブを加えたチャイもお試しください。

 私は風邪のひきはじめや胃がもたれるときは、シナモンとしょうがを多めにしたチャイを飲んで寝ることにしています。ベッドに入ると体がほかほかしてきて鼻詰まりが楽になり、胃の辺りがすっきりします。「スパイスって生薬なのね」と実感しつつ、ほんわかとした眠りに…。

(文 / 野澤幸代)   

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