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 世界中にいろんなお茶があるけれど、お茶を「食べる」ところがあるのには驚きました。その国はミャンマー。といっても私がそれに出会ったのは、東京・新大久保のミャンマー料理店でした。女主人のイーイーミンさんが「お茶請けに」とすすめてくれたのが、お茶の漬けものラペプエです。

 見た目はまるで茶色いお茶がらですが、口に含むと漬けもの特有のうまみと酸味が広がり、つぎにお茶の渋みが出てきます。そして、後味はすっきりさっぱり。むむっ、これはおいしい! ラペプエのまわりに盛られた揚げにんにくやピーナッツ、ごま、煎り豆を混ぜると、香ばしさや甘みがアクセントになっておいしさが加速します。ラペプエは塩や油、レモン汁、魚醤、唐辛子で調味され、トッピングを混ぜるとラペットゥと名前が変わるそうです。

 聞けば、ミャンマーでごくふつうに飲むのは、釜煎りの緑茶かラペプエの乾燥茶で、家庭ではお客様にまずお茶とラペットゥをお出しするとか。ちょうど、野沢菜や白菜などの漬けものをお茶請けにするのと同じ感覚なのですね。でも、お茶を飲みながらお茶を食べるなんて、ミャンマー人のお茶好きは世界一かも。

 こうした漬けもの茶は現在、中国雲南省やタイ北部にもありますが、国中の人がこぞって毎日食べているのはミャンマーだけのようです。インドのアッサムから雲南にかけては、お茶発祥の地といわれるところ。茶葉を蒸して発酵させるという工程は、漬けもの茶も烏龍茶のような発酵茶も同じなのですから、ひょっとしたら「飲むお茶」よりも「食べるお茶」のほうが先にあったのかもしれません。

 自宅でラペットゥをつまみながら(新大久保のミャンマー食材店で入手)そんなことを考えていたら、ヒラメキました。茶葉にはビタミンA・C・B群やミネラル、食物繊維がたっぷり含まれているのに、その75%はお茶がらに残ってしまうらしい。ならばして、料理に茶葉を使って食べればよいのだ、と。まっ、正直に言えば、緑茶や中国茶の葉を食べたらおいしいのかなぁ、程度の動機です、はい。

 中国緑茶の名産地・杭州には、緑茶と川えびを炒めた龍井蝦仁(ロンジンシャーレン)という明菜があります。淡味というかとても洗練されたおいしさなのですが、これほど本格的な料理はめったに作らないのは明白。そこで、不精者の私でも実践できる使い方を探してみました。

1 ごはんに細かめの緑茶少々を混ぜると、たとえチンしたごはんでも、香りがついておいしくなる。炊きたてごはんなら、すばらしく香り高い。

2 白身魚やえび、貝を蒸すときに、中国茶少々をのせ、その上から酒をかけて蒸す。さっぱりしつつも、うまみが増すような感じ。あさりの酒蒸しにもおすすめ。

3 インスタントの鶏ガラスープを作るときに、中国茶少々を加えるとあっさりした風味になる。この使い方は、常夜鍋や中国風鍋ものにも有効。

4 キュウリや白菜などの浅漬けに緑茶か中国茶少々を混ぜる。

 あれこれ試作をしてわかったのは、茶葉をドライハーブととらえれば、使い道がぐっと広がるということ。お茶の香りをもつハーブ。今晩の料理にいかがですか?

※このミャンマー料理店「ヤッタナー」は閉店しました。

(文 / 野澤幸代)   

※文章・イラストの無断転載、複製を禁じます。


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